[adtech] オプトがついにプラットフォーム構想を発表!
広告代理店のオプトがオーディエンスターゲティングを中心としたプラットフォーム構想を発表しました。
構想、ロードマップに関してはプレスリリースにて解説されています。
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「オープンデータプラットフォーム構想(OpenDPF構想)」ということで、これまでの「広告枠・掲載面(に来るユーザー)」をターゲットとした出稿から、「データを元にしたオーディエンス(場所にかかわらず、ユーザー)」をターゲットとした広告出稿が行えるプラットフォームの構築を進めていくということです。
OpenDPF 構想とは、この新しい概念のもと、”インターネット上のオーディエンスに関わる マーケティングデータを共通化し、日本初のオープンなプラットフォームとして様々なパ ートナーとデータ連携を実現する”ものです。
(中略)
オーディエンスデータを同一の方法で認識することで共通化し、 これまではサイトごとでしか把握できなかったオーディエンスのマーケティングデータを、横断したオープンデータとして活用できるようにします。これにより、インターネット広告を「広告枠(スペース)」だけで捉えるのではなく、「利用者(オーディエンス)」で捉えるという発想を実現し、最適なユーザーに最適な広告を提供することが可能となります。(オプト:プレスリリース)
■オーディエンスターゲティングってこれまでと何が違うのか?
これまではアドネットワークやアドエクスチェンジなどを利用しても、
「どこサイト・広告枠に出すか」
という基本概念に「絞り込みの条件」が加わっていただけで、そこに訪れるユーザーの質を担保することが難しいという性質がありました。どんなサイトであれ同じ条件のユーザーしか来ないということはありえないので、(特定の広告主にとって)優良なユーザーだけに広告を出稿するということは不可能です。そのため配信には必ず無駄が発生し、おしなべたときにディスプレイ広告の単価を下げてしまうという現象が起こっていました。
近年はリターゲティングなどの手法にて単価を上げる努力が行われていましたが、結局のところユーザーがタグを踏んだかで配信を限定することによるの手法のため、配信の絶対量がざっくりと落ちることなどがネックでした。
そこで最近米国で盛り上がってきているのが「オーディエンス(利用者)」による配信です。(今回は詳しく触れませんが)データプロバイダーなどいろいろなところから集めてきたり購入したりしてきたユーザーのデータをプラットフォーム内に集約し、広告主の目的に合わせて「オーディエンス」を購入するという形で配信を行ないます。どれだけ精度高く配信できるかはマッチングロジック次第ですが、変数として「タグを踏んだ」以上の行動履歴や購買履歴、場合によってはリアルでの行動なども含めて利用出来るため、高い期待が持たれています。
(オプトの考えるスキーム)
また、これまた最近米国で盛り上がってきている「オーディエンスデータの売買」という市場が存在し、データを持つメディアが広告枠ではなく、オーディエンスデータを販売するというスキームも今後出てくるでしょう。(この辺に関してはまた別途。)
■なぜオプト?
これまでオプトはADPLANという自社のプラットフォームに力を入れて市場をおさえてきました。特に広告の効果測定を行う「ADPLAN AD」やタグをまとめる「ADPLAN OT」などのソリューションを持っているため、それらを起点としたユーザーデータの取得を行っていくことが可能ですし、広告の配信を行う「ADPLAN DS」からそれらをベースとした配信を行うことも出来るはずです。もちろんそのままでは高度な「オーディエンスデータ」とは言えないためゆくゆくはデータをほかから購入して実装していくことが考えられます。
もともとはADPLAN DSは別のドメインだったものをバージョンアップで他のシリーズと揃えたところを見ると、Cookieなどの共通化に関して進めてきたのだと思われます。
オプトではまず「プレミアムオーディエンスターゲティング」という商品を提供し、cookieベースでプレミアムサイト(マーキングを提供するサイト)から集められたオーディエンスの分類によってターゲットされた広告を配信できるようにする。現在は月間で3,000万ユニークユーザーの広告配信が準備できているという。また、来年以降はCookie以外の位置情報やその他の属性なども組み合わせて、より詳細なターゲティングができるようにしていく予定だという。
(TechCrunch Japan)
■このスキームがうまく動くために必要な条件
・常に質の高いデータリソースをたくさん確保する
いくらオーディエンスに配信できても、まったくどんな広告主にも魅力的ではない集団を集めていたのでは全く意味がありません。一定以上の質を保ち、さらにはマッチング時のボリュームが小さくならないように母数をたくさん用意しておく必要があります。
・高い精度のマッチングロジックを確立させるデータエンジニアの存在
おそらく一番の課題はここになると思います。オーディエンスに配信するためのマッチングロジックをいかに精度高く実装できるかが勝負になります。
・パブリッシャーをつなぎとめておくための広告主のボリューム
パブリッシャー(メディア)にとっては単価が高くなる仕組みですが、ボリュームが小さければリターゲティングと同じようになってしまう可能性もあります。そのためオプトとしてはある程度以上の広告主のボリュームが担保できなければ、マッチングの精度も、需要と供給のバランスも崩れてしまう可能性があります。
・広告主をつなぎとめておくための透明性の高い配信先とボリューム
広告主としてはどこに出るのか気になるところです。また、配信先のボリュームがなければ上記の逆でバランスが崩れる可能性もあります。
まだまだ米国でも実績がある市場ではないですし、Yahoo!などの影響が大きい日本でどこまで行けるかは不透明ですが、逆に(日本では)まだまだプレイヤーの少ない市場なので、プラットフォームの構築に関してはどういう形であれ乗り遅れることのないようにしたいなと思っています。
参考:
・オプト、日本初のオープンデータプラットフォーム構想を発表~第一弾として「プレミアムオーディエンスターゲティング」の提供を開始~(プレスリリース:PDF)
・[jp]オーディエンスターゲティング広告のプラットフォーム構想を広告代理店のオプトが発表(TechCrunch Japan)
[...] This post was mentioned on Twitter by Hideya Kato, Yoshihiko Miyaichi, SHIMOM式/シモム式, 松尾, Katsu Sakai and others. Katsu Sakai said: ほう。RT @jazzyslide: [blog] [adtech] オプトがついにプラットフォーム構想を発表!: 広告代理店のオプトがオーディエンスターゲティングを中心としたプラットフォーム構想を発表しました。 http://bit.ly/d8ddTB [...]